絵画なら視覚、音楽なら聴覚で楽しむが、料理は五感すべてで楽しむことができる。もちろん味覚だけをとったとしても、甘味・酸味・苦味などさまざまな「味」が存在する。料理は、これら全てのバランスによって構成されている。
クチーナ・ダ・アマノのオーナーシェフ、天野 忍氏はこの「味のバランス」を作り出すために、食材そのものがもつ味にとことんこだわって追求している。本来の味が苦すぎたり、辛すぎたりで使われにくい野菜。しかし、その味が本来の味であるならば、その味を活かしたい。その苦味、辛味を美味しいと感じられるサイズや味付け、量、相性の良い食材を探し、料理として完成させたい。食材たちから「味のバランス」を創りだしていくのである。
「料理のための食材ではなく、食材を活かすための料理を」
天野シェフの食材に対するこだわりは、そんな想いからくるものなのだ。
「全てのお皿の最終調節ができるから」
小さなお店にしているのには、こういう理由がある。「料理は、その料理を考案した者が最後の微調整をすることで、お皿のバランスが整い、完成となる」 トータルでいつも同じ美味しさ、クオリティを保ことが大切だと語る天野シェフならではの言葉だ。千葉県アサノファームより直送の野菜や、山口県萩より直送の鮮魚。新鮮な食材が、本来もっている味を失うことなく、お皿の上で活き活きとしているのを見れば、なるほど納得である。
イタリアンにはかかせないパスタは、クチーナ・ダ・アマノ自家製の手打ちパスタ。新潟県産プリマスロックの卵と福岡県の石臼でひいた筑後泉を使用、小麦の風味を存分に味わえる一品になっている。そして、食後に出されるラヴァッツァのエスプレッソをチンバリでドリップするということも、料理をトータルで考える天野シェフにとっては、「味のバランス」を考えた大切な食材なのである。